佐藤陽
首都圏などで在宅医療サービスを提供する医療法人社団「悠翔会」が、コロナ禍の自宅療養者の診療を続けるために、クラウドファンディングで資金を集めた。募集開始後すぐに目標額の1200万円は達成した。佐々木淳理事長は「コロナとの闘いは、社会の総力戦だと思っている。みなさんの協力に感謝したい」と話している。
悠翔会は、首都圏などに18クリニックをもつ在宅医療専門クリニック集団。通常は、慢性疾患の高齢者を多く診ているが、コロナ感染拡大に伴い、8月11日から、東京都医師会との連携に基づき在宅コロナ患者への往診をスタートさせた。各地域の保健所からの依頼に基づき、通常診療と並行しながら往診対応してきたが、より多くの対応要請に迅速に対応すべく、8月24日から「コロナ専門往診チーム」を組織した。コロナ患者専門に、3ルートで医師らが回っている。悠翔会以外の医師も応援に加わっている。
悠翔会によると、8月末現在、東京都だけで2万2千人以上が在宅療養中、7千人超が入院調整中。連日、数千人規模の陽性患者が続く東京はもちろん、首都圏の各地域で、病院が逼迫(ひっぱく)した状況は当面続くものと予想される。自宅療養を余儀なくされる人、特に入院ができない中等症以上の人たちへの対応は10月末ごろまでは必要だとみられるという。
現状の見通しでは、10月末までで、人件費や医療資材費約4千万円がかかると見込まれる。診療報酬や補助金で賄える分を差し引いても、1200万円ほどの運営コストの不足が見込まれるという。保健所から往診依頼を受け付ける「在宅コロナ対策本部」や「酸素濃縮器回収チーム」なども、現状では人件費が持ち出しになっている。
目標額に達したが、クラウドファンデイングは、10月29日まで受け付ける。詳しくは、READYFORのページ(https://readyfor.jp/projects/yushoukai)から。(佐藤陽)
- 佐藤陽(さとう・よう)朝日新聞文化くらし報道部・be編集記者
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横浜総局時代に、超高齢化の実態や取り組みを描いた「迫る2025ショック」を2年半連載、『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)として出版した。台湾でも翻訳された。自身の心の病をきっかけにメンタルヘルスの取材も続ける。早稲田大学非常勤講師として「産業社会のメンタルヘルス」の講義を担当する。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル